君の瞳にわたしが映っても(完)
脈なしデート 〜3
それは、突然訪れた。
「なあ、今日空いてる?」
絶賛帰宅部のわたしが早々と教室を出ようとした時に、不意に腕を掴まれて振り向けば、わたしの片想いの相手からのデートのお誘い。
もう頭が真っ白になって、多分長いこと思考停止していたと思う。
「おーい。」
眉根をひそめてわたしの顔の前で手を振る彼は、少しだけ不機嫌そう。
「無視かよー…。」
「っ、あ、ごめん。」
我に返ったわたしは、急いで距離を取りながら軽く謝る。
って…なに、どういうこと??
ただいま教室にはわたしと彼しかいなくて…どうしてこうなったのかわからないけど…とにかく、心拍数が半端ないです、はい。
だ、だって!仮にも好きな人から、今日空いてる…?なんて、爆弾発言だよ、本当に。
「で?」
「で??」
「空いてんのか空いてねーのか。」
ため息まじりにそう聞かれ、慌ててこくこくと首を縦にふる。
「オケ。行くぞ。」
「へっ?」
パニックになるわたしをよそに、スタスタと歩き出してしまうあいつ。
な、何を考えてるの?!?
ついこの前友達同盟組んだよね?こいつの頭はおかしいのか?天然なのかそれともバカか。
なんて悪態をつきながらも、結局はついていってしまうわたしもバカだ。