夏のキミは、まぼろし
4.白い肌のキミ
「今日は美緒、遊べそう?」

 窓際に目を奪われていた美緒はハッとして、声をかけてきた彩香に焦点を合わせる。

「何?何?そんなに新山くんが気になるの?」

 背中に乗っかられて耳打ちされた。

「そ、そんなんじゃないよ!
 そんなんじゃ…ないんだけどさ。」

「賢くなれる技を盗もうとか思った?
 無理!無理!元が違うんだもん。
 うちらとあぁいう人達とは。」

 元が違う…かぁ。
 確かにそうなのかも。

 そう思っても昨日の「疲れたら俺のところに」という言葉が耳から離れてくれない。

「ごめんね。
 今日もちょっと行くところが…。」

「なーんだ。残念。付き合い悪いぞー。」

「ごめん。」

 ケタケタと軽い笑い声をあげて、彩香はいつも遊びに行くメンバーのところへ行ってしまった。

 私一人いなくても大して何も変わらないのは分かっている。
 分かっているからこそ、そこから抜け出すのが怖い。

 でも今は…。


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