夏のキミは、まぼろし
5.補習後のキミ
ほどなくしてついたところは近くの図書館。
「え?ここ?」
「そう。ここ。」
図書館に入るとすーっと汗がひく。
ほどよい冷房が心地いい。
静かな図書館の勉強できるスペースに新山くんは荷物を下ろした。
ガタンと椅子が引かれて「どうぞ」と小さな声で勧められた。
二人掛けの勉強スペースがいくつも並ぶそこに新山くんは腰を下ろす。
私も倣って隣に腰かけた。
「ここには本当にいつも来てるの?」
小声で質問したのに「シー」と指をあてて注意する新山くんはどこか楽しそうだ。
からかわれてるのかな。
真意は分からないまま、参考書を出して解き始めた新山くんの隣で美緒も補習で使っている参考書を開いた。
「さ。帰ろうか。」
新山くんに声をかけられて顔をあげる。
気づけば、ずいぶんと時が経っていた。
静かな場所でカリカリとペンの進む音だけの空間は驚くほど集中できた。
こんなに勉強したのは初めてかもしれない。
図書館を出ると日が傾き始めていて、アスファルトに映す影を長く伸ばしていた。
午前中だけの補習。
すっかりお昼ご飯を食べるのを忘れていたことを思い出して、急にお腹が空く。
「そういえばお昼食べてなかったね。」
「本当。そういえばね。」
二人顔を見合わせて、ハハハッと笑うと何故だか心地よかった。
いつもの蒸し暑い夕方。
なのにいつもと違う気がした。
「え?ここ?」
「そう。ここ。」
図書館に入るとすーっと汗がひく。
ほどよい冷房が心地いい。
静かな図書館の勉強できるスペースに新山くんは荷物を下ろした。
ガタンと椅子が引かれて「どうぞ」と小さな声で勧められた。
二人掛けの勉強スペースがいくつも並ぶそこに新山くんは腰を下ろす。
私も倣って隣に腰かけた。
「ここには本当にいつも来てるの?」
小声で質問したのに「シー」と指をあてて注意する新山くんはどこか楽しそうだ。
からかわれてるのかな。
真意は分からないまま、参考書を出して解き始めた新山くんの隣で美緒も補習で使っている参考書を開いた。
「さ。帰ろうか。」
新山くんに声をかけられて顔をあげる。
気づけば、ずいぶんと時が経っていた。
静かな場所でカリカリとペンの進む音だけの空間は驚くほど集中できた。
こんなに勉強したのは初めてかもしれない。
図書館を出ると日が傾き始めていて、アスファルトに映す影を長く伸ばしていた。
午前中だけの補習。
すっかりお昼ご飯を食べるのを忘れていたことを思い出して、急にお腹が空く。
「そういえばお昼食べてなかったね。」
「本当。そういえばね。」
二人顔を見合わせて、ハハハッと笑うと何故だか心地よかった。
いつもの蒸し暑い夕方。
なのにいつもと違う気がした。