あたしが彼に惹かれた理由
「ん。彼氏の部活待ってるはずだから」


「そっか」


「じゃあ行ってくるね!待っててね!」



にっこり笑ってあたしに手を振る。



「うん!」



本当に彼がくるかはわからない。
もしかしたらその子だって本当は豊田くんのことが好き、なんてこともあるかもしれない。

それでもいい。
豊田くんが〝待ってて〟って言ったから。


彼がここにくるときは失恋したとき。
だから、あたしは彼の支えになりたい。

そして、あたしも言いたい。



──貴方の字を見て、惹かれてました。


そう言いたいの。


豊田くんのことをちゃんと見てる人もいるんだよって。

今はまだいえないけど。
いつか必ず。



──好き
この二文字が言える日まで。

その日がくるまでずっとこの想いは秘めておく。
両思いになんてなれないかもしれないけど、それでもいい。
それでも、あたしの存在で少しでも彼の力になれればそれで。

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