キミアト、

……


「あ!もう行かなきゃ!」
コップに入ったオレンジジュースを一口飲んでカバンを持つ。

「音々子!…帰る時、連絡しなさい!」

ママの声が右から左へ抜ける。

急がないと!

いつものファミレスへと足を進める。
家から5分のところにあるファミレスは私たちのバショ。

頼むメニューもいつも一緒。

ファミレスのドアを押すとカランコロンと可愛い音。

「……あ!遅いんだけど、何してた?」
高い声に似合わない怖い顔で私を見るサクラ。
機嫌が悪いのはいつものことだけど今日は何かいつもと違う。
仲良くなって半年しか経ってないけどサクラのことが分かるようになってきた気がする。

「ごめんね。朝ごはん食べてました」
ハハッて笑って誤魔化すとサクラは手をグーにして机を思いっきり叩いた。

その音に隣のお客さんがビックリしてこっちを見た。

「ちょっとサクラ。うるさいうるさい。ねえねえ、何か頼んだの?」

隣のお客さんにぺこりと謝って席に座る。
< 3 / 8 >

この作品をシェア

pagetop