キミアト、

「……あんた、食べたんでしょ?いらないじゃん」

メニューを出しても手で払いのけるサクラ。
床に落ちたメニューを拾ってため息をついた。
「なんでそんなに怒ってるの?どうしたの?」

下を向いたままのサクラ。
本当に今日はおかしい。
夏の暑さで変になっちゃったかな?

手を挙げてウェイターさんを呼ぶ。

「すいません。カリカリポテトと唐揚げください」

このセットは私たちのなかで脂肪セットと呼んでいて2人が死亡した状態の時に頼むセット。
逆に2人にいいことがあった時はニコニコセットといってパフェとパンケーキのセットを頼む。

「なんで勝手に脂肪セットにするんだよ」

「だってサクラ死んでるじゃん」

そうでしょ?と首をかしげるとサクラはフッと笑った。

けどすぐにサクラは俯いて目をこする。

「サクラ?……泣いてるの?」

「……爽太(そうた)にね……」

賑やかなファミレスの中で高くてか細いサクラの声は聞き取るのがすごく大変で。

向かい合わせをやめてすぐにサクラの隣に座って顔を近づけた。

「爽太くんと何があったの?」

爽太くんはサクラの彼氏。
中学の時から付き合ってるみたいで今年で3年目らしい。

< 4 / 8 >

この作品をシェア

pagetop