キミアト、
聞いてからハッと気づく。
サクラから次の言葉を聞かなくても何となく言いたいことは分かるはずなのに。
思わず、何かあったの?と聞いてしまったのをすぐに後悔した。
「やっぱり何でもない」
ちょうどよくウェイターさんが脂肪セットを持ってこっちに向かってきていたけど私たちの様子を見て置くのをためらっていた。
「すいません。大丈夫です。ありがとうございます」
「あ。いいですか?……カリカリポテトと唐揚げです」
肩身が狭そうな脂肪セット。
既にお腹は満腹だけど手を伸ばす。
「美味しい!サクラも食べる?」
フォークに唐揚げを刺してサクラに差し出す。
怒るかな。…
そんな想像とは違い素直にサクラは私のフォークを受け取るとパクリとそれをかじった。
「…脂肪セットは最高」
やっと見れた、サクラの笑顔。
泣いて真っ赤になった目を細めて美味しそうに唐揚げを食べ始めた。
口は悪いし暴力的だし見た目怖いし。
でもスタイルはいいし、服もセンスあるし、髪の毛も綺麗。
本当に綺麗。
私にないもの全て持ってる。
羨ましいなぁ。
…
「音々子?」
もう空になった皿を見てビックリ。
いつも脂肪セットは2人で食べて十分なくらいなボリュームなのに今日はほとんどサクラが食べた。
よっぽどお腹空いてたのかな。
もしかして振られたショックで昨日から食べてないとか。
サクラのことならあり得るけど。