are you there?
誰もいない屋上で、冬のはじめの冷たい風が私の頬を撫でた。
そしたら、泪が止まらなくなった。
小さい頃から、お小遣いを貯められなかった。
おやつを一気に食べて、よく怒られた。
その頃と、何にも変わってない。
たった1回しか無いおまじないなのに。
私はもう使ってしまう。
are you there
扉の開く音がして、体が何かに包まれた。
それが小田原だって気づくまで、少しだけ時間がかかった。
「こうなると思って、待ってた。」
もう2度と感じることのない体温を、少しでも覚えていられるように目を閉じた。
「おまじないさん、お願いしてもいいですか
小田原じゃなくて、おまじないさんにのお願い」
私を包む身体が一瞬、強張って緩んだ。
「なんですか?」
「1つはこのおまじないのプレゼントをくれた人にお礼を言いそびれてしまったので、ありがとうって伝えておいて下さい」
「…分かりました。」
「2つ目は、嘘をついたことを謝りますって伝えてほしい。全部、全部覚えてたこと、覚えてないって言ったことごめんなさいって。」
私を包む手に僅かに力がこもった。
「……分かりました。」
「あと、…大好きでした。ちっちゃい頃から、ずっと。……これは 冗談です。」
「…」
ちょうど、上を飛行機が過ぎさった。
「あと、もっと大事なこと、私の1番の友達を彼女にしてるからには、絶対に幸せにすることって伝えて。 のろのろしないで、この後すぐに教室に行くこと。」
芽郁は鞄を置いてけぼりにして帰るような子じゃないから。
「分かりました。」
「あと、最後。もう大丈夫だから、手を離して、何にも言わないで帰って下さい、わがままなの昔からなんです、ごめんなさい。…ありがとう。」
「…知ってます、… わかった。」
誰もいない屋上で生き残った、季節はずれの蝉が最後の力を振り絞って鳴いていた。
そしたら、泪が止まらなくなった。
小さい頃から、お小遣いを貯められなかった。
おやつを一気に食べて、よく怒られた。
その頃と、何にも変わってない。
たった1回しか無いおまじないなのに。
私はもう使ってしまう。
are you there
扉の開く音がして、体が何かに包まれた。
それが小田原だって気づくまで、少しだけ時間がかかった。
「こうなると思って、待ってた。」
もう2度と感じることのない体温を、少しでも覚えていられるように目を閉じた。
「おまじないさん、お願いしてもいいですか
小田原じゃなくて、おまじないさんにのお願い」
私を包む身体が一瞬、強張って緩んだ。
「なんですか?」
「1つはこのおまじないのプレゼントをくれた人にお礼を言いそびれてしまったので、ありがとうって伝えておいて下さい」
「…分かりました。」
「2つ目は、嘘をついたことを謝りますって伝えてほしい。全部、全部覚えてたこと、覚えてないって言ったことごめんなさいって。」
私を包む手に僅かに力がこもった。
「……分かりました。」
「あと、…大好きでした。ちっちゃい頃から、ずっと。……これは 冗談です。」
「…」
ちょうど、上を飛行機が過ぎさった。
「あと、もっと大事なこと、私の1番の友達を彼女にしてるからには、絶対に幸せにすることって伝えて。 のろのろしないで、この後すぐに教室に行くこと。」
芽郁は鞄を置いてけぼりにして帰るような子じゃないから。
「分かりました。」
「あと、最後。もう大丈夫だから、手を離して、何にも言わないで帰って下さい、わがままなの昔からなんです、ごめんなさい。…ありがとう。」
「…知ってます、… わかった。」
誰もいない屋上で生き残った、季節はずれの蝉が最後の力を振り絞って鳴いていた。