彼の笑顔に出逢いたい
ついさっき、もう思い出すこともないと記憶の彼方に葬り去ったばかりの男の顔が脳内で勝手に再生され始めた。
うああーーやっぱり腹立つわぁ!!
感情の行き着くところは結局そこで、私は大きなため息が出そうになるのを寸前で堪える。
片桐先輩はいい人だったし、どこからどう見てもそのバーベキューへ行きたい様子のめぐ。
せっかく仲良くなれた友達だし、ここで変に断るのもな…。
それに、今回のGWは実家には帰省しない事も先日話したばかりだし。
バイトはもちろん今更口実には使えないし。
ど、どうしよう。
うまい口実も見つからず、結局最後はめぐの期待に満ちた目に押されることに。
「…行ってみよう…かな。…楽しそうだし。」
「え、本当に本当?一緒に行ってくれるの?」
「う、うん。」
それに、アイツがいるとは限らないし。
その問題さえなければ、私だってせっかくの連休にお泊りバーベキューという未知の世界を楽しみたい。
「花乃、ありがとう!私いまからGWが超楽しみになってきたんだけど。じゃあ、とりあえず先輩に参加の連絡入れとくね。」
そう言うや否や、スマホをササッと操作し始めためぐが
「送信完了~♪」
と超ご機嫌に、最後は鼻歌まで歌いながら自室へと帰っていった。
お泊りバーベキューにあいつが絶対、絶〜対来ませんように!!
あとは、それを願うのみ!