彼の笑顔に出逢いたい
無愛想男は車から少し離れた空いている駐車場の車輪停めに腰を下ろしタバコを吸っていたけど、私に気づくと持っていた携帯灰皿でタバコを揉み消し「じゃ、戻るか。」そう言って腰を上げた。


“ ピピッ ” と遠隔操作で車にロックをかけた彼に「あのっ…」と話しかけると「…ん?」と足を止めこっちを振り返った。


思っていた以上に近い距離から、背の高い彼に見下ろされる形になり思わずドキッと身が縮む。


「…ありがとうございました。転びそうになった所を助けていただいたり、こうして車まで一緒に着いて来てくれたり。後、タオルも…洗ってお返ししますね。」

「…いいよ。それに何も汚れたわけじゃないんだから洗う必要ないし。」


そう言うと、私が手にしていたタオルに彼の手が伸びてきた。


あっ…と思った時には既に彼の手に握られていて、思わずタオルから手を離してしまった。


それを彼は、さっきと同じように首にかけた。

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