彼の笑顔に出逢いたい
それを見た瞬間、胸の中がこそばゆい気持ちになった。


ここに来る時と同じように、彼の背中を見ながら歩く。


さっきは遠回りした道を今は迂回せず人の多くいる道を突っ切っていく彼。


それを少しだけ残念に思う自分がいた。なぜかはーー分からない。


みんなのいる場所に戻ると、橋本さん、伊藤さん、奈緒さんしかいなかった。


他のみんなは、川で釣りをしたり足をつけながら楽しんでいるのが見えた。


「おい、晴〜今まで二人でどこに消えてたんだよ〜。」


戻ってきた私たちを見た橋本さんが嬉しそうに、無愛想男に話しかけながら近づいてきた。


「…そんなんじゃねぇよ。」


無愛想に答えると、次は私にその矛先が向けられた。


「花乃ちゃん、晴に襲われなかった〜?」

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