彼の笑顔に出逢いたい
無愛想男にも、確かにさっきそれとよく似たことは言われた。


二人にとって私は手のかかる子供と同じだということ。


奈緒さんはきっと不愛想男のことが好きなのだと思う。


好きな人が自分以外の女と二人でどこかに消えたら、面白くなくて不安な気持ちになるのも仕方ない。


それに彼の周りをチョロチョロうろついて見える私の存在は、奈緒さんにとって邪魔な存在でしかないのも分かる。


だけど今までそういった経験のなかった私には、彼女から向けられる言葉や視線がとても痛く感じた。


めぐもいないから余計に心細く感じる。


「花乃ちゃん。」


その時、助け舟のような呼び声がかかる。


鉄板で焼きそばを焼いている伊藤さんだった。
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