彼の笑顔に出逢いたい

本人は無意識なんだろうけど、めぐの抱きつく力が結構強くて話が進むにつれ体重がかかり押され気味になっていた。


私は無愛想男の体に触れてしまいそうになるのを必死で堪えていた。


一旦手を突いて、めぐの方にお尻を少しだけずらそうと思ったその時、また誰かが悲鳴をあげた。


その瞬間、めぐが思いっきり私にガバッと抱きついてきた。


バランスを崩した私は、結果的にめぐの体を受け止めきれず反対側に倒れ込んでしまったのだ。


その上「うっ、ぎゃ…」とカエルが潰れたような可愛くない声まで出てしまう。


自分の体を支えてくれている人が誰のか、自分がどこに倒れて込んでいるのかなんて、分かりたくないけどもう分かっている。


支えてくれている誰かの手が、思い切り私の胸に当たっていたから。


めぐが慌てて「ごめんね、花乃…。結城さんもすみません…」 そう言って私を引っ張り起こしてくれた。