イジワル上司の甘い毒牙
低温火傷
今日は朝から天気が悪い。
どんよりとした重たい雲が漂う空を、オフィスの窓越しにぼんやりと見ていると、頭上に影がかかって、私は顔を上げた。
「佐倉さん、ちょっといい?」
数人の女性社員を引き連れて、その先頭に立っているボブショートの女性社員が私を見下ろしていた。
私は驚きで小さく悲鳴を漏らして、先ほどまで触れていたパソコンのキーボードから、慌てて指先を離して姿勢を正した。
「はい、何でしょうか?」
また何か、私は彼女達の気に障るようなことをしてしまったのだろうか。
そう思って、何を言われてもいいように覚悟を決める。
すると、先頭の人の後ろに控えていた人達が突然頭を下げて、私を見下ろしている先頭の人が、唇を噛み締めた。