イジワル上司の甘い毒牙
「とにかく、謝ったから!日高さんに伝えておきなさいよっ!」
「は、はあ……」
そう言いながら、今まで堪えていたらしい涙をポロポロと零し始めたのを見て、私は何故だか罪悪感を感じてしまう。
私が悪いわけでもないし、そんなふうに思う必要はないんだけど。
「あの」
「何よ!?まだ気が収まらないって言うの!?」
ようやく自発的に言葉を発した私を、目の前の女性社員は涙目で睨み付けてくる。
後ろにいる人達が、次に何を言われるのかと、おろおろしながら見守っている。
「ごめんなさい」
私がそう口にすると、一瞬空気が止まった気がした。
「私、あなた達のこと何も知らないのに汚いなんて言ったから」
慌てて補足すると、女性社員達は珍獣を見るような目で私を見つめた。