イジワル上司の甘い毒牙

「元はと言えば、私達が勝手に嫉妬して、嫌がらせしたのよ?あんた、バカなの?」


どこからかそんな声が飛んできて、私は乾いた笑いを漏らしてしまった。


「なんか、本当に日高さんのことが好きなんだなって、毒気を抜かれてしまったというか……」


人を好きになって、嫉妬して、その人を想って泣けるって、凄いことだと思う。

本当は、この人達は根は良い人なんじゃないかと思って、私はすっかり怒りを失っていた。


「は?日高さんに特別扱いされてるからって余裕ね」
「ちょっと、そういうのもうやめようって言ったでしょ」


どうやら私は空気の読めない発言をしてしまったらしく、後ろに控えていた一人が前に出てきて私を睨み付けるのを、先頭の人が鼻をすすりながら手で制止した。


「すみません、あの……私、あまり人付き合いが得意ではないので、気に障ることばかり言ってしまってるかもしれません。そういうのもあって、気に食わなかったんですよね」


もう一度頭を下げると、女性社員達は口をつぐんで、息を呑んだ。

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