イジワル上司の甘い毒牙
「わかりません……でも、嫌な気持ちにはならないんです」
私がそう言うと、日高さんの手がゆっくりと伸びて、私の指先に触れた。
「嫌じゃない?」
指先が絡んで、まるで恋人のようにぴったりと手が重なる。
お互いの高い体温に一瞬動揺して、手を引きそうになるけど、日高さんがぎゅっと手を握ってきたので、私の手はそのまま留まることとなった。
「……心臓が、痛い、です」
しどろもどろに、言葉に詰まりながらそう伝えると、日高さんは一瞬目を見開いて、ふわりと微笑んだ。
「そう」
短く言って、空いた手で私の腕を掴んで、引き寄せた。
そのまま日高さんと一緒にベッドに倒れ込んで、揺れが収まった辺りで状況を理解して、私は彼の身体の上で身じろぎをする。