唯少女論
今日も唯理さんは部活をサボった。



「唯理さん。今日は何て言って部活をズル休みしたの?」



そして今日も美術室で私と一緒に絵を描いている。



「今日は生理。さすがにこれは顧問の先生も言い返せないっしょ」



笑う唯理さんに私も合わせる。



「でも心配だな。唯理さん、大会近いんじゃない?」



「あ、うーん。まあね———」



言葉を濁す唯理さんは私の隣でクロッキーを続けていた。



「そうだ。わもかちゃんの好きなマンガって何? アタシ、マンガ読んだことないから読んでみたい」



「好きなのは少女マンガばっかりだからちょっと恥ずかしいよ」



「わもかちゃんの好きなモノ知りたいな」



ニコニコしながら言う彼女に私は何も言い返せない。



「………わかったよ。今度の日曜日ね。ついでに家で夏休みの宿題やろうよ」



「あー、宿題忘れてた。ウチの学校って絶対に量が多いよね。みんなエスカレーターで進学だから心配ないのに」



「中には、受験する子もいるよ。———そうだ。シャルも呼ぼうか?」



「うん。そうだね。そうしようか」



一瞬の間を置いて、



「夏休みも一緒だね」



彼女は笑顔を見せた。
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