唯少女論
夏休み最初の日曜日は思っていた以上の晴天で、意地悪な太陽は容赦《ようしゃ》なく私達の肌をじりじりと焼いた。



一足先にウチのお店に来ていたシャルはやけに露出度の高い涼しそうな服を着ている。



「シャル、ずいぶん早かったね」



「夏休みは忙しくなりそうだから早めに終わらせたくてさ」



そう言いながら大きめに育った胸をテーブルの上に乗せて谷間が丸見えだった。



「それはアタシに対する嫌がらせか何か？」



唯理さんは流れる汗を拭いながらＴシャツの大きくはない胸元をパタパタさせて冷たい空気を送り込む。



「嫌がらせです」



ニヤッと笑うシャル。



「マジでムカつく」



「シャルは何で夏休み忙しいの？」



「夏のコミケに売り子で誘われててさ。他の子と合わせでコスプレ衣装作ってて。けっこう気合い入れてやってんの」



暑い夏のせいか露出度が高めのシャルはきっと衣装も露出度が高いんだろう。



それに見合う女性的な体をしているのだから仕方ない。



と私は現実を忘れようとしていた。



「とりあえず始めようか。数学からでいい？」



二人とも渋々ながら数学のプリントを広げる。
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