繋がる〜月の石の奇跡〜
「そういえば、大谷さんは?」

えみは、部屋の中を見渡しながらあずさに聞いた。

「大谷さんなら関谷くんと外にいるよ。」


「関谷くん‥。あずと関谷くんにも迷惑掛けてごめんね。」


えみは、体を起こしながらあずさに謝った。


「私たちは、全然平気だよ。それより、えみが一番感謝しなきゃいけないのは大谷さんだよ。」


あずさは、真剣な顔でえみに話し始めた。


「大谷さんね、海岸でずぶ濡れになってるえみを見つけて、急いで私に電話くれたんだよ。えみが熱出してて、歩ける状態じゃないからって、、とりあえず自分の家に連れて行くけど、何か着替え持って来てくれないかって。」


えみは、海岸で雨に打たれながら、大谷に優しく抱きしめられた感触を思い出していた。

「カッコよくて、優しくて、紳士で‥こんな素敵な人は他にいないと思うよ?」

あずさは、えみを説得するように強めの口調で言った。


「そうだね‥。」


えみは、あずさの言葉に胸が締め付けられる思いをしていた。
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