繋がる〜月の石の奇跡〜
えみ、圭へ

この手紙を読んでくれてるってことは、俺の願いが月に届いたってことかな。

えみ、色々黙ってて辛い思いをさせてごめん。

自分の病気のこと、もうえみには会えないこと、本当はちゃんと話すべきだったのかもしれない。

でも、怖かった。

小さい頃、近所のお姉さんが恋人を事故で亡くして、後を追って命をたったことがあったんだ。

えみは強い人間だから大丈夫だって思ってたけど、もしも自分のせいで、えみにそんなことが起きたら・・・
そう考えたら怖くて言い出せなかったんだ。

本当にごめん。

俺は、えみのことが本当に大好きだった。

俺の手で、えみを幸せにしたかった。

それなのに、ずっと一緒にいられなくてごめん。

圭、俺は、自分の手でえみのことを幸せにできないのなら、圭みたいな人に幸せにして欲しいと思ったんだ。

俺はお前を心から信頼してるから。

そんなとき、えみと圭が同じ大学に入学したことを知ったんだ。

だからといって、圭にえみのことを頼むなんてことはできなかった。

圭は責任感が強いから、俺がそんなことを頼めば、自分の幸せよりも約束を守ろうとするだろうから。

二人が自然に出会って、お互いに惹かれあって繋がってくれたらいいな、なんて、、すごく自分勝手だけど、そう願わずにはいられなかった。

えみとお揃いで買ったムーンストーンに願いを込めて。

二人が繋がるきっかけになるように、このペンダントを圭に託したんだ。


今なら二人に言える。

圭、えみを頼んだ。

えみ、絶対に幸せになれよ。



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