繋がる〜月の石の奇跡〜
五章
今日は、テスト最終日である。

最後にえみが井上や大谷と会話をしてから約二週間が過ぎていた。

その間、驚くほど学内や通学途中で井上と大谷に会うことはなかった。

そしてこの二週間の間、大谷から合宿のことについて連絡が来ることもなかった。
合宿の参加について、えみは今でも悩んでいる。


『忘れられちゃったのかもしれない。』
えみはそんなことを思っていた。

合宿は、今日から一週間後に始まる。

『どうしよう。』

テストの間もえみは問題に集中出来ずに合宿のことばかり考えてしまう。


そして、最後のテスト時間が終了し、えみたちは夏休みへと突入する。

「えみ〜！やっとテスト終わったね〜！」
あずさが嬉しそうに話し掛ける。

「終わったね〜！」

あずさとえみはハイタッチをしながらピョンピョンと飛び跳ねる。

「今日はパーとご飯でも食べに行こうよう。」
あずさがえみを誘う。

「そうだね。」

えみとあずさは、一度それぞれの家に戻り、夜７時に大学の近くのパスタカフェで待ち合わせすることにした。

家に帰る途中、えみは携帯電話の電話帳画面で大谷の電話番号を探す。

電話番号を見つめながらその場に立ち止まる。

『合宿…。どうしよう。』

えみは携帯電話の画面を閉じ、かばんに入れる。
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