繋がる〜月の石の奇跡〜
5分後、近くのデパートに到着する。

三人は中へと入り、カートに次々と入れ始める。

その間も井上は終始楽しそうに会話し、えみにもちょっかいを出してくる。

えみは、三人で過ごしている時間に違和感を感じなくなってきていた。

『合宿もきっと楽しくなる。』


三人は買い出しを終え、車へと戻る。


「じゃあ、そろそろ帰ろうか。」

運転席に座ると大谷が言う。

「そうですね。」

えみから残念そうな声が出る。

「これから僕、学部のお疲れ会なんだ。」

大谷も残念そうに理由を説明する。

「俺と飯行く?」

井上が何気なくえみを誘う。

「え?二人で?」

えみはすぐさま返事をする。

「おい、井上。抜け駆けはないだろ。」

また冗談ぽく、少し慌てて大谷が言う。

「飯行くだけっすよ。」

「当たり前だろ。」

二人は本当に仲が良さそうに話す。

「どーする?行く?」

井上が再度尋ねる。

「い、行く。」

吃りながらも、迷いなく言葉が出た。

そのとき、大谷には寂しそうな表情を浮かべた。
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