繋がる〜月の石の奇跡〜
少し経つと注文したお好み焼きが二人のテーブルに運ばれてきた。

「いただきます。」

えみは豚玉お好み焼きを一口食べる。

「美味しい!」

「だろっ!」

二人は楽しく話しをしながら、お好み焼きを食べる。




「圭くん?」

ちょうど二人が食べ終えた頃、遠くの方から声がした。

「やっぱり圭くんだ!」

一人の綺麗な女性が井上を見ている。

『大倉さん。』

そこには、女友達数名とお店に来ていた大倉ゆりこの姿があった。

ゆりこは、二人の座っているテーブルに近づいてくる。

「こんばんは。」

ゆりこがえみに挨拶する。

「こんばんは。」

えみは控えめに挨拶を返す。


「大谷さんの彼女さんですよね?」


「え?」

思いがけないゆりこの言葉にえみは驚く。


「私、大倉ゆりこです。よろしく。」

ゆりこは笑顔で自己紹介する。

「真田えみです。」

近くで見ると、ゆりこは一段と綺麗だった。


「大谷さんはどこいったの?」

ゆりこは、えみのことを見定めるように眺め、お構い無しに次々に質問してくる。





「ゆりこ!お会計!」

ゆりこの友達の一人がゆりこを呼ぶ。

「ちょっと待って!」

ゆりこは面倒臭そうに返事する。


「圭くん、一緒に帰ろう?ちょっとだけ待ってて。ね?」

ゆりこは、井上のTシャツの端を掴みながら甘えた口調で言った。

ゆりこの姿が見えなくなると、井上は財布からお金を取り出しテーブルに置いた。

「行こう。」

井上は、立ち上がり、えみに手を差し出す。

「え?う、うん。」

えみは井上の手を取り、井上が手を引く力に任せて立ち上がる。

二人は手を繋いだまま、お店から出る。

そして浜辺の方に向かって走った。
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