繋がる〜月の石の奇跡〜
「井上くん!」

井上の手をぐっと引き、走っていた足を止める。

「どこ行くの?待ってなくてよかったの?」

息切れしながらえみが言う。

井上は、えみより少し前を歩き、砂浜に仰向けになって寝そべった。

「あー。今日も月がキレイだな。」

えみの質問に答えることなく、井上は言った。

えみは、井上の隣まで行き砂浜に座り込む。

「俺さ、月には何かすごい力があるんじゃないかって思うんだ。」

えみは、その言葉をしみじみ聞く。

「そうだね。」

えみは、自分が身につけていたムーンストーンの付いたブレスレットを触りながら素っ気なく答えた。




「俺、もっと真田さんのこと知りたいんだ。」

井上が率直にそんなことを言う。


えみは、月に照らされた井上の横顔を見つめた。
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