繋がる〜月の石の奇跡〜
七章
合宿初日の朝がきた。
えみは、七時半にアパートの駐車場で大谷と待ち合わせしている。
時間になり、えみは外に出る。
すると、大谷もちょうど部屋から出てきた。
「えみちゃん!おはよ!」
いつもにも増して、大谷は明るく元気だ。
「おはようございます。」
「今日からよろしくね。」
「はい。こちらこそ。」
「じゃぁ、車乗って!」
そう言って、大谷は助手席のドアを開けた。
「ありがとうございます。」
えみは、車に乗り込み、シートベルトを締める。
「よし、じゃぁ出発!」
大谷は、車を発進させた。
「今から井上とあずさちゃん迎えに行くから。あずさちゃん家ってどの辺り?」
「大学の近くです。」
「そっか。じゃぁ、井上が先だな。」
『大倉さんは別で来るのかな。』
えみはふと疑問に思った。
「他のメンバーはどうやって来るんですか?」
えみは敢えてゆりこの名前は出さずに遠回しに聞く。
「他の奴らは、車何台かで相乗りしてくるんだ。」
「そうですか。」
ゆりこがこの車に乗ると言わなかったのが意外に感じた。
「あ、そうそう。大倉が急用で参加できなくなったみたいなんだ。」
「え?」
「なんで飯作りえみちゃんとあずさちゃんの二人だけになっちゃった。」
大谷には舌を出しながらお茶目に言う。
「そうですか。」
ゆりこが来ないと聞いて、えみは少し安心していた。
あの夜の出来事以来、ゆりことどのように接したらよいか悩んでいたからだ。
「えみちゃん。」
大谷がえみの名前を呼ぶが、えみは上の空で前を見つめている。
えみの頭には、あの日の井上とゆりこの姿が映っていた。
「えみちゃん!」
大谷が3回目のえみの名前を呼んだとき、えみはハッと我に返った。
車はあるアパートの前に停車している。
「どうかした?」
「いいえ。なんでもないです。」
「井上の家着いたんだけど、電話しても出ないんだ。まだ寝てるのかな。」
「あ、じゃぁ私が様子見てきますよ。」
「そう?じゃぁお願いしていい?部屋は103号室だからさ。」
「分かりました。」
えみは車から降りて、井上の部屋へと向かった。
部屋の前まで来て、チャイムを鳴らす。
1回目のチャイムに井上が出てくる様子はない。
えみはもう一度チャイムを鳴らす。
すると中から鍵を開ける音がした。
ドアが開くと、えみの目の前にTシャツとスエットズボンで髪がぐしゃぐしゃな井上が出てきた。
井上の顔はボーとしている。
「井上くん、もう時間だけど、準備できて・・・」
えみがそう言い掛けたとき、井上の体がえみの方に近づいてきた。
「ちょっと」
えみは慌てて井上の肩を支える。
「井上くん!!」
えみの声に井上が微妙に反応する。
支えてた井上の体重がスッと軽くなり、えみは、顔をあげる。
すると、井上の顔が10cmもない距離にあった。
井上は寝ぼけているのか、じーっとえみの顔を見ている。
あまりにも近距離で、えみは言葉を失いその場に立ち尽くす。
そして井上の顔が、えみの顔にどんどん近づいてくる。
ドキッ
ドキッ
えみは、七時半にアパートの駐車場で大谷と待ち合わせしている。
時間になり、えみは外に出る。
すると、大谷もちょうど部屋から出てきた。
「えみちゃん!おはよ!」
いつもにも増して、大谷は明るく元気だ。
「おはようございます。」
「今日からよろしくね。」
「はい。こちらこそ。」
「じゃぁ、車乗って!」
そう言って、大谷は助手席のドアを開けた。
「ありがとうございます。」
えみは、車に乗り込み、シートベルトを締める。
「よし、じゃぁ出発!」
大谷は、車を発進させた。
「今から井上とあずさちゃん迎えに行くから。あずさちゃん家ってどの辺り?」
「大学の近くです。」
「そっか。じゃぁ、井上が先だな。」
『大倉さんは別で来るのかな。』
えみはふと疑問に思った。
「他のメンバーはどうやって来るんですか?」
えみは敢えてゆりこの名前は出さずに遠回しに聞く。
「他の奴らは、車何台かで相乗りしてくるんだ。」
「そうですか。」
ゆりこがこの車に乗ると言わなかったのが意外に感じた。
「あ、そうそう。大倉が急用で参加できなくなったみたいなんだ。」
「え?」
「なんで飯作りえみちゃんとあずさちゃんの二人だけになっちゃった。」
大谷には舌を出しながらお茶目に言う。
「そうですか。」
ゆりこが来ないと聞いて、えみは少し安心していた。
あの夜の出来事以来、ゆりことどのように接したらよいか悩んでいたからだ。
「えみちゃん。」
大谷がえみの名前を呼ぶが、えみは上の空で前を見つめている。
えみの頭には、あの日の井上とゆりこの姿が映っていた。
「えみちゃん!」
大谷が3回目のえみの名前を呼んだとき、えみはハッと我に返った。
車はあるアパートの前に停車している。
「どうかした?」
「いいえ。なんでもないです。」
「井上の家着いたんだけど、電話しても出ないんだ。まだ寝てるのかな。」
「あ、じゃぁ私が様子見てきますよ。」
「そう?じゃぁお願いしていい?部屋は103号室だからさ。」
「分かりました。」
えみは車から降りて、井上の部屋へと向かった。
部屋の前まで来て、チャイムを鳴らす。
1回目のチャイムに井上が出てくる様子はない。
えみはもう一度チャイムを鳴らす。
すると中から鍵を開ける音がした。
ドアが開くと、えみの目の前にTシャツとスエットズボンで髪がぐしゃぐしゃな井上が出てきた。
井上の顔はボーとしている。
「井上くん、もう時間だけど、準備できて・・・」
えみがそう言い掛けたとき、井上の体がえみの方に近づいてきた。
「ちょっと」
えみは慌てて井上の肩を支える。
「井上くん!!」
えみの声に井上が微妙に反応する。
支えてた井上の体重がスッと軽くなり、えみは、顔をあげる。
すると、井上の顔が10cmもない距離にあった。
井上は寝ぼけているのか、じーっとえみの顔を見ている。
あまりにも近距離で、えみは言葉を失いその場に立ち尽くす。
そして井上の顔が、えみの顔にどんどん近づいてくる。
ドキッ
ドキッ