繋がる〜月の石の奇跡〜
えみとあずさは、キッチンに戻りトンカツを揚げ始める。

「あず、お味噌に火入れてくれる?」

トンカツを手際よく揚げながらえみが言う。

「オッケー!」

千切りしたキャベツをお皿に盛り付けながらあずさが返事した。


そして昼食の時間になると、体育館から食堂へとメンバーが続々集まって来る。

あずさは、飲み物を冷蔵庫から取り出して、プラスチックのカップを用意する。

「お茶とお水出したから!」
あずさがえみに向かって言う。

「あ、あと牛乳もお願い!」

「え!?牛乳!?」

若干疑問に思いながらもあずさが牛乳を取り出す。

最後の方に井上と大谷も食堂に入って来る。

「飲み物は、このテーブルから取って下さい!おかわりもあるので、自由に取って下さい!」

あずさが元気よく説明をする。

えみは、飲み物が置いてあるテーブルへ行き、リクエストされた飲み物をカップに注いで配る。

少しすると大谷と井上が飲み物のテーブルの前にやってきた。

「えみちゃん、色々ありがとうね!」

大谷が笑顔でお礼を言う。

「大谷さん、何飲みますか?」

「あ、僕はーじゃぁ水もらおうかな。」

「はい。」

水を注いで大谷に手渡す。

「井上くんは牛乳で大丈夫?」

えみはサラッと井上に聞く。

「おお。サンキュー。」

井上は嬉しそうに牛乳を受け取り、席に着き、トンカツを美味しそうに食べ始めた。

えみは、そんな井上の様子から目が離せなくなっている。

『井上くん喜んでる。』

えみの頬が心なしか赤めた。

そんなえみの様子を真剣な表情で大谷が見つめていた。
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