繋がる〜月の石の奇跡〜
えみと井上は洗濯機を回し終え、川の方へと向かう。

少し歩くと、木々に囲まれた美しい空間が広がってきた。

水面は光が反射してキラキラと輝いている。

「キレイ。」

えみの口から言葉が漏れる。

「良いところだよな。」

井上からも感動の言葉が出る。

「冷たくて気持ち良い。」

えみが川の水に手を入れて少しはしゃぎながら言った。

「ちょっと座ろうよ。」

井上が言った。

「うん。」

二人は、川に足を浸しながら座り込んだ。

たわいもない話をして、二人の会話は弾む。

話が一旦途切れたとき、井上がいつもより真面目な顔付きになって切り出した。

「真田さんはさ、付き合ってるやつとかいるの?」

「え?」

唐突な質問に、えみは一瞬戸惑う。

「いないよ。ちょっと前に振られちゃったから。」

意外にもえみの口からは光輝に振られたことまでが出てきた。

「そうなんだ。まだそいつのこと好きなの?」

井上の真剣な表情にえみは息を飲む。

「ううん。もう大分吹っ切れてるよ。」

「そっか。」

川のせせらぎが聞こえる中、遠くを見つめて井上が言う。

「井上くんは?」

えみが尋ねる。

「俺もいないよ。でも、気になってる・・って言うか好きな奴はいる。」

「そうなんだ。」

井上に好きな人がいることを知り、えみの心がドキドキと早く鳴り始める。


「結構長い間の片思いなんだ。」
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