繋がる〜月の石の奇跡〜
井上の真っ直ぐな瞳がえみのことをじっと見つめる。



「井上!」

すると、遠くの方から井上を呼ぶ声がした。

「サボってんなら手伝えよー!」

合宿に来ているサークルメンバーの一人が井上に向かって叫んでいる。

井上は、右手で自分の髪をくしゃっとして、また邪魔が入ったと言わんばかりの表情をしている。

「ごめん、ちょっと行ってくる。」

そう言って井上は、バーベキューの準備をしているメンバーの方へと行ってしまった。

えみはしばらくポカンとした表情で、遠くを見つめていた。

『井上くんの好きな人って・・。』

そう考えただけで、顔が真っ赤になった。

『変な期待したらダメだって。』

赤くなった頬を両手で触りながら、えみは自分に言い聞かせた。
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