繋がる〜月の石の奇跡〜
えみは、合宿所のランドリーセンターへ戻り洗濯物を乾燥機にかける。

『あず起きたかな。』

あずさのことが気になって、えみは合宿所の部屋に戻る。

すると部屋の前に優しそうな顔つきをした男性が立っていた。

「あ。」

えみに気づくと、その男性は声を発した。

「何か御用ですか?」

少し警戒した様子でえみが話し掛ける。

「あの・・新田さんいる?」

その人は、あずさについて尋ねてきた。

「あずですか?たぶん部屋にいると思いますが。」

その男性は、そわそわして落ちつかない態度でいる。

なんとなく状況を察したえみは、

「今、呼んできますよ。お名前聞いてもいいですか?」

「あ、ありがとう。僕、バスケサークルの関谷っていいます。」

「関谷さんですね。少し待ってて下さい。」

「はい。」

そう言って、えみは部屋へと入って行く。

あずは、ベッドに横になってまだ寝息を立てて寝ている。

「あず!」

えみはあずさの体を揺さぶって起こそうとする。

「ん?」

寝ぼけた声であずさが言う。

「あず!関谷さんって人があずに会いに来てるよ。」

「関谷?」

眠い目を擦りながら、心当たり無さそうにあずさが呟く。

「どうする?会うの?」

えみが少し急かすよう言う。

「関谷、関谷、関谷?」

あずさは関谷のことを思い出そうとする。

「バスケサークルの人って言ってたよ。」

えみがそれとなく言う。

あずさはむくっと立ち上がり、ドアへと向かって行った。

あずさが外に出るのを確認し、えみは自分のベッドに腰掛ける。

「はぁ。なんか疲れたなぁ。」

えみはベッドに仰向けになって目を瞑る。

窓からは心地よい風が入ってきた。

そしてえみはそのまま深い眠りについた。
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