繋がる〜月の石の奇跡〜
「えみは最近どうなの?」

自分の話を終えて、あずさがえみに尋ねる。

「私はー。」

えみは大谷のことを話そうか悩んで、話しを止める。

「私のことは今度ゆっくり話すよ。」

「えー!えみ、いつもそればっかり!」

あずさは、残念そうな表情を見せた。

「じゃぁ、バーベキューのところに戻ろう。」

あずさがベンチから立ち上がって言う。

「私、もう少しここに居ていい?ちょっとゆっくりしたい。」

えみは両手を高く上げて腕を伸ばしながら言った。

「うん。分かった。なるべく早く戻って来てね!」

あずさは、えみに小さく手を振りながら川辺の方へと小走りで戻って行った。

「ふー。」

えみは深呼吸をしながら、空に煌めく月を見上げた。

「今日も月はキレイだなぁ。」

えみの頭には、これまで大谷との間に起きた色々な出来事が蘇っていた。

『私、大谷さんのこと最初は馴れ馴れしくて変な人だと思ってた。』


『でもいつの間にか一緒にいると安心できる存在になってた。』


『大谷さんは、いつも私をみてくれていた。いつだって私を考えて優しく見守ってくれた。』


『好きか嫌いかって聞かれたら、もちろん好き。』

『でも、私は、、』

えみは目をぎゅっと閉じる。

えみの頭には大谷ではない男性が浮かんでいた。
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