繋がる〜月の石の奇跡〜
時間はあっという間に過ぎ、時刻は午後9:00をまわっていた。

「そろそろ合宿所戻ろっか?」

かき氷を食べながら井上がえみに聞く。

「うん。そうだね。」

えみは少し残念そうに答える。

えみと井上は、まだ人で賑わう出店通りを歩きながら合宿所へと向かう。

「井上くん!」

えみが何か決心したように大きな声で井上の名前を呼ぶ。

「ん?」

少し驚いた表情で井上がえみの方を見た。

「あのね、話したいことがあるの。」

えみも井上の方をしっかりと見て言った。

「ちょっとだけ寄り道して行かない?」

真剣な眼差しで、でも少しだけ恥ずかしそうにえみは話しを続けた。

「いいよ。」

井上は優しくえみの顔を見ながら言った。


ドキッ

ドキッ

えみの胸の鼓動がどんどん大きくなる。

緊張のあまり、えみは下を向いて無言のまま歩き続けた。

井上もまた、ドキドキと高鳴る胸の鼓動を隠すように黙って歩いた。
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