繋がる〜月の石の奇跡〜
えみは、光輝のペンダントを握り締めながら、当てもなく走り続けた。


『どうして。どうして。どうして。』

そして、気がつくとバーベキューをした川原の辺りにたどり着いていた。

えみは息を切らしながら近くのベンチに座り込む。

息を整えるように、えみは大きく深呼吸し、右手に持っているペンダントをじっと見つめる。

ペンダントに付いているムーンストーンは月の光に照らされて優しくぼんやりと意味深に輝いている。

『光輝。』

えみの頭の中には、光輝との思い出が走馬灯のように蘇ってきた。

ゆっくりと目を閉じて、頭を真っ白にしてみる。

すると、パッと井上の顔が浮かんだ。

『光輝。私はもう新しい道に進んでるよ。』

えみは、自分の気持ちが光輝ではなく、井上にあることを確認して、決心したようにまた走り出した。
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