ただ、忘れることも出来なくて。



泣いては、いなかった。苦しくは、なった。
ああ。
「好き…………」
たくが、好き。大好き。
泣きたいくらいに大好き。
だった、とはまだ思えない、今も好きだよ。

「おはよう」
「あ、今日泣いてない?」
ハンカチに包まれた保冷剤を渡してきながら、ふふ、と笑われる。
「いくら?」
冗談で優しさの値段を訊く。
「2円」
冗談でまえなが答えた。
「うそ」
「ははは」
「よかったよー」
「ありがとう」

今日は、授業を普通に受けた。寝なかった。
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