The Guardian Legend
床が崩れ落ちたその下は、地上から80mは離れた奈落の底だ。もちろん落ちたら確実に死ぬだろう。
同時にこの場所は宙に浮いているところだと気付く。
「輝希っ!」
隆志は、壁に寄りかかった状態で難を逃れた。
隆志の目に輝希の姿が目についた。それは、本当に崖っぷちと言ってもいい光景だった。
辛うじて崩れていない床の切れ端に捕まるも手以外は宙に揺られている。
「降参するなら助けてやる」
「お断りするぜ」
輝希は、床の切れ端に左手のみで捕まる。細く小さな左手が震え、デュアルはその左手をおもいっきり踏みつけた。
「ぐっ…」
顔が歪み、左手は血で滲んできた。
「なぜだ!?もう勝負は着いたはずだ!」
「勝負が着くってのはどちらか一方が負けを表明した時だ。私の今の状態は負けじゃないんだよ」
右手の剣を力強く握りしめると、左手甲から炎龍が浮かび上がった。