会長代行、貴方の心を全部わたしにください
初めて会った時の頼りなさは少しもない。

会長代行としてしっかりと自分のやるべきことを彼なりのやり方で果たしている。

更に先日、総代と会った後から会長代行の雰囲気が少し変わった。

総代とどんな話をしたのか、なんとしても同行させてもらえばよかったと、後悔している。

総代と会った後に行われた重役会議でも、重役たちの会長代行を見る目が少し変わったなと感じている。

就任当初、会長代行を色眼鏡で見ていた重役たちが、会長代行の一挙一動に注目している。

特に会議での会長代行の手腕にはぐうの音も出せずに、頷いてさえいる。

社内には派閥が幾つかあると聞いているけれど、今その派閥の縮図はどう変わっているのか。

秘書課にいると、重役や男性社員ではなくても、気になるところだ。

思い返せば先日、常務室に書類を返しに行った時の常務の取り乱しようは、胸のすく思いだった。
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