会長代行、貴方の心を全部わたしにください
「ですね。黒田さんは俺が万萬だと最初から気づいてたでしょう!?」

「なんとなく、確信したのは『空と君との間には』が出版された時かしら。でも編集長は最初から知っていたみたい」

「さすがに編集長は欺けなかったんで、茶番に乗っかってもらっていました」

「編集長はそういうところ、上手いわよね。すっかり騙されたわ」

「すみません」

会長代行と黒田さんのやり取りを聞きながら、会長代行が心を許し笑顔で話す姿を初めて見た気がした。

羨ましいーーわたしも会長代行とそんな気を許し話せる間柄になりたい

手にしていたペンをギュッと握りしめた。

「で、次回作の構想はあるの? そろそろ沢山江梨子とのコラボも飽きたのでは」

「そうですね。お互いにコラボはがりしているわけにはいかないですし、自由に描きたいですね」

「西村先生からミステリーを描いてみてはと勧められているんですってね。どうなの?」
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