会長代行、貴方の心を全部わたしにください
「那由多賞作家で連載も数本してるし、寄稿文もよく見かけるし、いつ書いてるのかな」
「あんなに忙しくて、デートとかできるのかしら」
私は数分、耳をそばだてた。
会長代行のプライベート、確かに気になる。
私が知っているのは、週に3回循環器科と呼吸器科の診察と喉のリハビリ。
それと時々、会長代行を出版社の編集者が訪ねて来たり、スケジュールの空きに会長代行が出版社に寄ること。
それくらいしか、知らない。
いつ執筆しているのかも知らない。
会長代行に恋人がいるのかどうかも、考えもしなかった。
「出版社に彼女がいるという噂、本当かな?」
「……えっ!?」
思わず、声を漏らしてしまった私を女子社員たちは目敏く見つけて「ねえ、芹沢香生子さん」と、声を掛けてきた。
「あんなに忙しくて、デートとかできるのかしら」
私は数分、耳をそばだてた。
会長代行のプライベート、確かに気になる。
私が知っているのは、週に3回循環器科と呼吸器科の診察と喉のリハビリ。
それと時々、会長代行を出版社の編集者が訪ねて来たり、スケジュールの空きに会長代行が出版社に寄ること。
それくらいしか、知らない。
いつ執筆しているのかも知らない。
会長代行に恋人がいるのかどうかも、考えもしなかった。
「出版社に彼女がいるという噂、本当かな?」
「……えっ!?」
思わず、声を漏らしてしまった私を女子社員たちは目敏く見つけて「ねえ、芹沢香生子さん」と、声を掛けてきた。