会長代行、貴方の心を全部わたしにください
私は処置室に駆け込みたいのをグッと我慢して、秘書の芹沢香生子に状況を訊ねた。


業務提携しているパソコン教室のプログラム内容充実の検討会議終了後、発作を起こしたらしい。


常用している薬では発作が治まらず鎮静剤を射ち、点滴を始めて半時間やっと落ち着いたのだと言う。


芹沢香生子は「この後のスケジュールは調整しました」と言い、スケジュール表を私に差し出した。


「こんな過密スケジュールを毎日?」


分刻み、秒刻みのスケジュールだ。


訂正前のスケジュール表と訂正したモノを見比べるが、過密スケジュールには変わりない。



「はい……」


芹沢香生子は眉を下げ、上目使いで私を見て、蚊の鳴くような声で呟いた。


「どうしてこんな……貴女、いったい何を聞いていたの? 由樹の会長代行が決まった時、スケジュール管理は慎重にと……あれほど会長が貴女に話したでしょう!?」


「でも……代行が……」


芹沢香生子は泣き出しそうな顔で、もごもご呟く。


「信じられない、こんな過密スケジュール。貴女に秘書は……」


「それは詩乃が決めることではない」
< 3 / 115 >

この作品をシェア

pagetop