会長代行、貴方の心を全部わたしにください
「元気そうにしているけれど、かなり用心している。24時間酸素吸入して、食事制限も自己管理も徹底している」


元さんは私を見て、気づいているよなという表情をする。


「由樹の場合はいつ、根治手術に辿り着けるかもわからないし、これまでの手術の予後も良くない」


私はカーテンの向こう側にいる会長代行の先ほどの様子を思い浮かべて、元さんの話に聞き入る。


「移植でもしない限り、運動制限や食事制限、酸素吸入はなくならないだろうな。残念ながら、由樹には数十時間の手術に耐える体力もない」


医務室に元さんの声と時計の音だけが響く。


「動かない体を薬でやっとこさ動かしていて、本人は相当キツいはずだが。俺は気がけて連絡を取っている」


「……会長代行は動けるうちに動きたいと言っていました」


「頻繁に発作を起こしたり、今日みたいな状態が続いたりするようなら、車椅子生活を強いることになるからな」
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