会長代行、貴方の心を全部わたしにください
そんな状態で機械の操作をしている様子は、見ていて胸が詰まる。


「なるほど……」


豊橋商事社長と担当者は会長代行の話を、メモを取りながら相づちして真剣に聞いていた。


「生の声を聞くとやはり、まだまだ使い易さは追求しなければなりませんね」


「ご検討いただけると助かります」


会長代行は平然としているけれど、こうして話を聞くと大変さがよくわかる。


「芹沢、手を貸せ」


豊橋商事を出て、会長代行はキャリーバックを車に乗せる。


「難儀だよな。携帯酸素は」


詩乃様に言わせると、会長代行は重たい物を持ったり、持ち上げたりすることも、心臓に負担がかかるらしい。


「次は東金の部長と建設中の工場視察だったな」


「はい」


「うちからは誰か来るのか?」
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