会長代行、貴方の心を全部わたしにください
「はい、製造部長がお見えになります」
40才半ばの製造部長は社内でタヌキと呼ばれている。
会食と称しては接待費を上げると評判で、総務部から目をつけられている人物だ。
会長代行が着任してからは接待がかなり減ったと言われ、会長代行の前では大人しい。
東金食品の工場視察に合流した製造部長は、工場を回りながら、東金の部長と終始ゴルフの話をしていた。
18時前。
社に戻ると、詩乃様が会長代行室のソファーに座っていた。
「……詩乃、仕事は?」
「モデルの子が遅刻して、先方を怒らせてしまってショー自体が初めから仕切り直し」
「それは……痛いな。で、俺に何か?」
「円山出版の黒田さんが貴方のこと、心配していたわよ。何かあったの?」
「そうーー別に」
40才半ばの製造部長は社内でタヌキと呼ばれている。
会食と称しては接待費を上げると評判で、総務部から目をつけられている人物だ。
会長代行が着任してからは接待がかなり減ったと言われ、会長代行の前では大人しい。
東金食品の工場視察に合流した製造部長は、工場を回りながら、東金の部長と終始ゴルフの話をしていた。
18時前。
社に戻ると、詩乃様が会長代行室のソファーに座っていた。
「……詩乃、仕事は?」
「モデルの子が遅刻して、先方を怒らせてしまってショー自体が初めから仕切り直し」
「それは……痛いな。で、俺に何か?」
「円山出版の黒田さんが貴方のこと、心配していたわよ。何かあったの?」
「そうーー別に」