会長代行、貴方の心を全部わたしにください
「芹沢。検定の勉強をしていて、特に理解できなかった所や難しかった所は?」

「そうですね……わたしがてこずったのはーー」

おれの手からマニュアルを抜き取った芹沢はページを繰った。

その顔がやけに楽しそうで、いつもそういう笑顔でいればいいのにと思いながら見ていた。

彼女にそっと付箋紙を渡すと、彼女は「ここと、ここも、それから」と、声に出しながら付箋紙を貼った。

「けっこう多いな」

「すみません」

「いや、寧ろそれが現実だろう。ありがとう、参考にさせてもらう」

「あの、どなたかを個別に教えられるんですか」

「ああ、当人の受験意志はまだ確認していないんだが……還暦を過ぎた人には3級受験、厳しいと思うか?」

「還暦を過ぎたというと、作家のお2人!?」

「ご明察。パソコン講習を受講されているだけでも、あのお2人にとっては大きな進歩なんだが」
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