会長代行、貴方の心を全部わたしにください
「そうですね。想像もつきません、パソコンに向かっておられるお姿が」

俺がフーッと息を吐き出すと、芹沢が笑いながら言った。

作家という確固たる結果を出し続けている彼らに、資格など今さら必要ないのだと思う。

だが、教務課としては受験率や合格率の数字は大事という、頭の痛いところだ。

「お2人に受験を勧めるんですか?」

「一応な」

「速攻で、断られそうですね」

「……だよな。まあ、潔く当たって砕けるさ」

とは言ったものの、彼らの受験体験や受講で得た知識が作品に活きる、という可能性を期待している。

ミステリー作品のトリック、或いはハードボイルド作品の登場人物にパソコンのテクニックが採用されても、面白い。

そんなことを考えていると、芹沢が「会長代行、なんだか楽しそうですね」と笑った。
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