会長代行、貴方の心を全部わたしにください
お2人の受講終了時間を見計らい、パソコン検定受験の打診を行うと、案の定な返事だった。

「ハハハッ。結城くん、それは無謀だよ、なあ梅川くん」

「西村くんに、賛同するよ。我々みたいな頭も指も硬い輩に裂く時間、若者に使う方が有意義だ」

ごもっともと言いたいところをグッと堪えて、先ほどの作品に受験や受講体験を活かしてほしいくだりを話してみた。

「結城くん。君の期待は嬉しいが、我々の暇潰しに、君を付き合わせるのは気の毒以外なにものでもない」

攻防虚しく、あっさりと受講は断られてしまった。

その旨を伝えに、教務課に行くと珍しい人物が教務課を訪ねていた。

俺のすぐ上の兄、専務だ。

教務課のスタッフにも招かれざる客だったのか、いつもよりざわついている。

給湯室でお茶の用意をしているスタッフに、こっそり何事かと訊ねると、パソコン検定受験者リストへの抗議だという返事だった。
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