会長代行、貴方の心を全部わたしにください
父や祖父が如何に多くをこなしていたかを思い知らされる。

療養中の会長、父は今、週1出勤してくればいいほうだ。

祖父は総代だが実質、隠居同然の会長顧問、気が向いた時しか顔を出さない。

こちらが何かしら意見を求めても、謎解きか暗号めいた回答をしてくる。

祖父は俺が物心つく頃からそうだった。

俺が読書をするきっかけになったのは祖父の影響だし、ミステリーとくに西村先生の作品を贔屓にしているのも、祖父の影響だ。

出版社の編集部で西村先生の担当になった時は心が踊ったものだ。

だが祖父のまどろっこしさには迷惑している。

クイズのお答えを説くのは嫌いではないが、素直に答えてほしいと、内心思う。

会長代行としての力量を問われ、鍛えてくれているのだろうと思うから、特に何も言わない。

謎解きや暗号を助言と捉え、答えを導き出していく、その過程も大事なのだと考えることにしている。
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