会長代行、貴方の心を全部わたしにください
episode 11ー波紋
「芹沢、今日は定時であがっていい」
朝のスケジュール確認の際、会長代行はそう告げた。
「祖父……総代とプライベートで会うことになった。定時以降のスケジュールは特に急ぎのモノも、重要なモノもなかった。こちらで、後日に調整しておいた」
会長代行がサッとA4サイズのメモを差し出した。
「確認を頼む」
「承知いたしました」
珍しく定時で帰れるーー嬉しいはずなのに、何故か気持ちが浮かない。
総代が会長代行をわざわざプライベートでと改まって呼び出すのは珍しい。
いつも突然で強引に都合もお構い無し、スケジュールさえ無視して、自分の要件を押しつけてくる人だ。
いったいどんな話をするのだろう、気になって胸が疼いた。
「たまにはアフター6を自由に過ごすのもいいだろう」
会長代行がわたしの反応を窺っているのを感じて、わたしはじっと会長代行を見つめた。
朝のスケジュール確認の際、会長代行はそう告げた。
「祖父……総代とプライベートで会うことになった。定時以降のスケジュールは特に急ぎのモノも、重要なモノもなかった。こちらで、後日に調整しておいた」
会長代行がサッとA4サイズのメモを差し出した。
「確認を頼む」
「承知いたしました」
珍しく定時で帰れるーー嬉しいはずなのに、何故か気持ちが浮かない。
総代が会長代行をわざわざプライベートでと改まって呼び出すのは珍しい。
いつも突然で強引に都合もお構い無し、スケジュールさえ無視して、自分の要件を押しつけてくる人だ。
いったいどんな話をするのだろう、気になって胸が疼いた。
「たまにはアフター6を自由に過ごすのもいいだろう」
会長代行がわたしの反応を窺っているのを感じて、わたしはじっと会長代行を見つめた。