会長代行、貴方の心を全部わたしにください
「それはーーなるべくスケジュールに余裕を持たせてはいるんですが、会長代行が予定を入れてしまわれて……」

「あのバカは。もう少し兄貴たちが使える奴らなら由樹も会長も苦労しないんだがな」

「ーー聞かなかったことにしておきます」

「あんた、賢くなったな。由樹に無茶するなと伝えてくれ。じゃあな」

元さんは澄まし顔で、彼の真意はさっぱり見えなかった。

ただ、元さんの歩いてきた先には総代室があることが、心に引っ掛かった。

会長代行は人事の噂を「俺は聞いていない」とか「意図的なものだろう」と誤魔化してはいたけれど、本当は何か知っているのかもしれないと思った。

常務室に入ると、常務が待ち構えていたように「やっと来たか」と茶封筒を受け取るなり、書類を引き出した。

表紙のタイトルは「都市開発に伴うインフラ整備」と書かれている。
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