【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。



「本当に、特別なことはしてないのかい?」

「……教科書、一度読んだらだいたい覚えてたから……あとは応用と、なんとなく。昔からそうだったから」


昔から。


その単語は、彼方の昔を知っている私にとっては、とても重く感じられた。


「……なんだいそのバカげた答えは。僕をおちょくっているのかい?」


やっぱり、鬼龍院くん怒ってる。

ジロリと彼方を睨み付け、視線を一切そらさない。


「本当の……ことだから」

「そうか君は天才の部類に入る人物だったか……ははは、凄い才能を持ったものじゃないか。心の底から羨ましいよ一色クン!」


笑っているが、目が笑っていない。


「才能は認めるべきものだ。努力もせず結果を出せる人にも『それは君にしかないものだ。だからどうか、その才能は大切にしたまえ』と悔しいながらも認めてきた」


「だが一色クン、君は違う」と、ハッキリ鬼龍院くんは口にした。


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