【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。



「君は何故、今までその才能を隠していたんだい? その才能を持っているのに、何故?」

「き、鬼龍院くん待って、彼方にも事情が……」

「事情? どんな事情があろうと一色クンが才能を隠していたのは事実。そんな一色クンの存在を知らないまま、僕は毎日勉強して一番をとって誇らしげになっていたんだぞ?」


自分が一番だと信じていた。

だけどそれは違った。

彼方という存在が、才能が、鬼龍院くんを否定した。


「なんて愚かなんだ。自分が惨めで情けない。一番だと喜んでいた自分が醜い……一色クン、本当に特別な勉強方などはないのかね? それは本当に君の才能なのかね?」


ああそうか、鬼龍院くんが必死に彼方に『なにか特別なことをしているんだろう!? 努力しているんだろう!?』と聞いていた理由がやっと分かった気がする。


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